東ネパールは世界で最も高い地形を形成しています。カトマンズより東にある地域でエベレストを含む8000メートル級のクーンブ山群やインド国境沿いのカンチェンジュンガ山群がそびえています。この土地にはそれぞれの文化や様々な民族(タライ平原にはインド系住民が多い)が暮らしています。タライ平原のナラヤンガートとインド国境のカーカルビッタとの間にイースト、ウエストハイウェイが走りカトマンズからバス(所要約11時間)や便利な飛行機(所要約30分)も運行しているので、もし時間に余裕があればカトマズやポカラとはまた違う観光地として新しい魅力を発見するのもいいかもしれません。
ジャナクプル
インド国境からチベット国境までの広大な地域にまたがるジャナクプル県の県庁所在地。この一帯はミティラー地方と呼ばれ、母語はマイティリー語。ネパールのマイティリー語の人口は公用語のネパール語に次いで2番目に多い総人口の約12パーセントです。またこの地方で描かれるミティラー画はピカソにも影響を与え高い評価を得た民族芸術です。
ジャナキ寺院はネパール唯一のインドのムガル様式で白くかわいらしい印象の寺院です。ジャナキ寺院を中心にこの町で一番古いネパール層塔建築様式のラム寺院、ラム・ジャナキ結婚寺院、ジャナク寺院、ラチマン寺院ハヌマン寺院、シヴァ寺院など多数の寺院があります。これらの寺院は「ラーマーヤナ」の登場人物たちを祀っています。
ラーマーヤナとは古代インドの国民的大叙事詩。ヒンドゥー教の聖地ジャナクプルは主要舞台のひとつです。この物語はヒンドゥー教の聖典としてインドで愛されアジアに広く伝わりました。ここジャナクプルは最初のラーマ王子とシータ女王の結婚式が行われたヴィデーハ王国の都。毎年ヴィクラム暦マンシール月(11月下旬から12月上旬)の新月から5日目にラーマ王とシータ女王の結婚を祝うお祭りがあり、多くの巡礼者や参詣者が訪れます。
ジャナクプルにはネパール唯一の鉄道があります。ジャナクプル鉄道はインドとの国境を越えて走ります。小型列車が2編成で1日2往復。始発のジャナクプルダムから終点インド・ジャイナガルまで4つの駅と3つの駅舎のない無人停留所があり、距離は約29キロ。 残念ですが外国人はこの電車で国境を超えることはできません。現在は工事のため運休中ですがネパール最後の駅カジュリまで行き往復することはできます。※2020年内には工事が終了する予定
ダラン
タライ平野とヒマラヤへ続く山岳地帯との境界上の開けた町がダランです。標高は305から700メートル。北側になだらかなチューリア丘陵の山々が、南にはタライ平原が広がる坂の多い町です。最先端のネパール女性のファッションをリードし様々な魅力を持つナヤ・バザールにはおしゃれなデザインの布地や既製服の並んだお店が多くあります。 好みの布を選び採寸すれば翌日に仕立ててくれるお店もあるそうです。
イラム
ネパール最東端の丘陵地帯。標高1200メートルの人口2万人足らずの町。ネパールの銘茶のイラムティーはダージリンに並ぶ高品質の紅茶の生産地としても知られています。町から北側に入れば一面茶畑です。茶畑に覆われた山々やイラムの町を望めるラブ・ダラ(恋の丘)と呼ばれる高台は展望所になっています。ここで取れたイラムティーは海外に輸出もされているそう。訪れた際にはお土産として買って帰ると喜ばれます。
記事/Tomoko Watanabe