イラムティーとは
紅茶といえば、世界で一番有名なダージリンを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。ダージリンといえば世界三大銘茶のひとつ。インドの紅茶です。実はあまり知られていませんが、インド・西ベンガル州のダージリン地方に隣接するネパールのイラム群はイラムティーの産地です。人口わずか2万人の小さな町で、ネパールのイラムはダージリンと並ぶ紅茶の産地です。イラムは標高1200メートルの高地で昼間は暑く夜は寒くなり温度差が激しく霧がよく発生します。この気候が紅茶の生産にとって最高の環境です。ネパールの紅茶は農薬や化学肥料を使わず、基本的に手作業で行い、昔ながらの農法を続けています。そのため畑は良い状態が維持され、良い気候も重なり美味しい高品質の紅茶が作られるのです。
高品質のリーフティーの多くは、インドを経由しダージリンの名で輸出されています。イラムティーは色が薄くオレンジ色、さわやかな渋みが特徴でダージリンに似ています。このイラムティーはそのまま飲むのがおすすめです。
ネパール人には欠かすことのできない大切な飲み物「チャ」
ネパールの食文化として欠かせない飲み物がおなじみの「チャ」です。インドでは「チャイ」といいます。チャとは紅茶にたっぷりミルクと砂糖を入れ煮立てスパイスを入れ香りをつけたもの。ミルクティーのことです。ブレンドの基本のスパイスはクローブ、カルダモン、シナモン、しょうがなどです。チャは高級なリーフティーではなく、CTCティーが使われます。CTCティーとはC(Cut=刈る)、T(Tear=裂く)、C(Crush=粉砕)の略で顆粒状の茶葉です。この茶はブロークンリーフやダストティーとも呼ばれ、タライ平原地方やイラム群の南隣ジャパ群で栽培されたものです。
ネパール人は朝起きたら、熱いチャを一杯飲み一日が始まります。そしてカジャ(軽食)や来客の時など一日に何杯も飲みます。ネパール人からチャをすすめられた時は歓迎しているという意味。コミュニケーションの一種です。決して断ってはいけません。チャはネパール人にとって欠かすことができない、人と人を結びつける大切な飲み物です。
記事/Tomoko Watanabe