ダッカ織(ダカ織)はネパールに古くから受け継がれてきた伝統的な織物のひとつです。生地は黒、白、赤、オレンジなど少ない色から幾通りもの組み合わせによって幾何学模様ができます。色合いはとても美しいです。すべて異なる図柄になり、ひとつとして同じ模様はありません。シックな色合いのため男女や年齢に関係なく好まれる生地です。ネパールでこの生地は男性用の帽子「ダカトピ」や女性用のショールやブラウス「チョロ」などに用いられています。「ダカトピ」は国家の誇りを象徴する帽子で公務員の正装になっています。またネパール最大の秋祭りのダサインや収穫祭のティハールの際にも贈り物として用いられるそう。結婚式では新しいダカトピを注文し花嫁はダガ織りのドレスを着ることもあります。このようにダッカ織りはネパールの多くの人に欠かせない伝統的織物です。ダッカ織りの生地は、手触りがやわらかく、しっかりとした丈夫なコットン素材や暖かく保温性があるアクリルウール素材などがあります。軽やかな質感のアクリルウール素材のショールはネパールの女性にとても人気があります。
ダッカ織り発祥の地
ダッカ織りはバングラディッシュの首都ダッカから来て、ネワール商人がネパールのタンセンに流通させたとされていますが、由来には様々な説があるようです。
ダッカ織りの名産地タンセンとは
タンセンはポカラから南へ120キロほどの標高1350メートルに位置する山岳の小さな町です。夏でも30度以上に、冬も10度以下になることはあまりなく、年間を通して温暖な気候。15世紀にタンセンに都をおくパルパ王国が成立しました。16世紀にはインドのゴーラクプルからポカラ盆地まで領土を広げカトマンズ盆地まで進攻を試みましたが勢いは衰え弱体化しました。そしてネパール王国に併合されました。現在はパルパ地方の中心都市になっていますが、今でもタンセンをパルパと呼ぶ人が多くいます。 タンセンは古き良き時代の雰囲気が残っており観光にも人気がある場所です。 タンセンの見どころのひとつ、スリナガールの丘は標高1650メートルに位置しヒマラヤからインド平原までの絶景を一望できます。 ダッカ織りの名産地タンセン。実際に機織りを使ったダッカ織りの実演を見ることでもできます。お土産に美しいダッカ織りの伝統的な織物を買って帰るのもいいですね。
記事/Tomoko Watanabe