トレッキングと登山の違い
トレッキングとは移動や旅行といった意味を持つ「Trek」が語源です。登頂を目的とはせず、山の景色を楽しむのが目的です。登山ほど専門的な道具を使わず山を登るのがトレッキング。比較的緩やかなコースを歩くので、初心者におすすめです。登山とは最終目的を山頂としています。何か月も入念な準備と専門的な道具を必要とし、山を登るのが登山。1960年代頃、ネパール政府は標高6000メートル以上の山頂を征服することを登山、それ以下を歩くことをトレッキングと厳密に区別しました。なぜ区別したかというと、観光客の誘致策として外貨不足を解消するためです。
トレッキングのシーズンは9月後半から5月前半頃まで。ベストシーズンは10月、11月、3月、4月です。
人気3大トレッキングエリア
一番人気「エベレスト」(エベレスト山群、クーンブ山群)
ネパールで一番人気のあるエリアです。ネパール東部とチベットとの国境地帯に連なる山群は「エベレスト山群」、または「クーンブ山群」と呼ばれています。この一帯は世界遺産のサガルマータ国立公園に指定されています。最大の魅力は世界最高峰のエベレストを目の前で見て楽しめること。もう一つは山岳民族シェルパ族の生活に触れられることです。シェルパは多民族国家ネパールを構成する民族のひとつ。ヒマラヤ登山隊に仕える現地人ガイドのような意味で使われていたこともありました。現在シェルパ族は高所での荷物運びやトレッキングのガイドで生活しています。
初心者から上級者まで楽しめる「アンナプルナ」
ポカラの標高はわずか800メートル。他のエリアと比べて高山病の心配が少なく、道路や宿泊施設も整備されているため、トレッキングが初めての人にもおすすめです。コースはポカラを起点とし初心者から上級者まで楽しめる1泊2日のミニトレッキングや1、2週間にわたる本格的なトレッキングなど様々です。ポカラの町外れにあるフェア湖の湖面に映るアンナプルナ山群は神秘的です。
世界で最も美しい谷のひとつ「ランタン」
カトマンズの北にそびえるランタン。カトマンズから最も近い山群です。6000メートル以上の峰々がそびえ立つランタン谷はイギリスの登山家ティルマンが「世界で最も美しい谷のひとつ」と紹介されたことで有名です。春はシャクナゲが咲き、フラワートレッキングを楽しむこともできます。ほかのエリアと比べて緑が多く動植物も豊富です。
記事/Tomoko Watanabe