culture 素晴らしい文化

ネパールで最も華やかな収穫祭「ティハール」、別名「光のお祭り」

ネパールはお祭り好き

ネパール最大のお祭り「ダサイン」の次に重要なお祭りは「ティハール」です。ティハールはデイワリーと呼ばれる日を中心に夕方から火を灯すことから、別名「光のお祭り」とも呼ばれ、華やかな収穫祭です。富と繁栄と豊穣の女神ラクシュミを家に招き一家の繁栄を願うお祭りとされています。ダサインの初日からティハールの最終日までちょうど1か月。ネパールの暦であるビクラム暦の新月の7番目前後4日間から5日間に渡り行われます。今年2020年は11月13日から16日まで。月と暦の関係が深いため毎年開催の時期は異なります。

1日目はカーグ・ティハール。カーグとはネパール語でカラスのこと。カラスは知らせを伝えるもの。初日はカラスを供養する日です。家の前や道端にご馳走などお供えします。

2日目はククル・ティハール。ククルとは犬のこと。ご馳走を与え、犬の額にティカと呼ばれる印や花飾りをつけます。

3日目の夜はラクシュミ・プジャ。ラクシュミは富や財をつかさどる女神として崇められています。ラクシュミを家に招き入れるため、暗くなったら電気を消してろうそくを灯します。この明かりは一晩中絶やすことなく灯されます。この日、女の子たちは「バイリ」という歌を歌ったり、踊ったりしながら家々を回りお菓子やお小遣いをもらいます。

4日目はガイ・プジャ。牛の日で最も重要な日。ヒンズー教では牛は神様です。牛を休ませてご馳走を食べさせます。この日はネワール族のお正月でもあります。ネワール族は1年間に体に溜まった悪いものを清め新しい年を迎えます。

5日目はバイ・ティカ。兄弟、姉妹の日です。姉妹が兄弟にティカを贈ります。女性の守護力を兄弟に与えるという意味。姉妹は自分の兄弟の長生きや健康のために千日草の花を首にかけ額にはティカをつけお祈りの儀式プジャをします。そしてネパール伝統の帽子(トピ)やナッツ、果物や手料理でもてなします。

Kathmandu, Nepal – October 27, 2019: Diwali, the Hindu festival of lights. People create rangoli, bright decorative patterns on the ground or floor made of colored rice, dry flour, colored sand or flower petals; and light candles.

ヤーマ神にまつわる伝説とは

このようにティハールは富と繁栄と豊穣の女神ラクシュミを招いて一家の繁栄を願う祭りとされています。
しかし、死を祭るヤーマ神にまつわる伝説があり、実は起源に深く関わり、ヤーマ神の妹ヤムナが兄に会うために行ったことを再現されていると言われています。
ヤムナは長い間、兄のヤーマに会えなかったためカラスに会いたいという伝言を託しました。カラスは死を知らせる不吉な鳥とされています。次に頼ったのがイヌ。イヌは危険と死の知らせを察知できると考えられていました。カラス、イヌの次は雌牛(ガイ)。兄ヤーマに会えないヤムナは自分から会いに行くことにしました。この時ヤムナを牛車で連れて行ったのが雄牛(ゴル)です。ヤムナはようやく兄のヤーマに会うことができました。兄の額にティカを施し、油やセンニチコウなどの植物を捧げ、それらが乾くまで一緒にいたいと懇願しました。
ティハールはネパールで最も賑やかなお祭り。この幻想的な「光のお祭り」を是非一度、体験してみたいです。

記事/Tomoko Watanabe