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42にも及ぶ民族が存在するケニアは多民族国家 その中でも少数派のマサイ族が有名な理由

日本で最も有名なケニアの民族はマサイ族ですが、キクユ族、ルヒア族、ルオ族、カレンジン族、カンバ族など42にも及ぶ民族が存在するのはご存知でしょうか。ケニアの首都ナイロビ周辺を生活圏とするキクユ族は人口の20パーセントほど。この代表的な5民族で人口の70パーセントを占めます。もともと、遊牧民だったマサイ族の人口は推定20万から30万人と言われています。マサイ族はケニア人全体では少数派です。では、なぜマサイ族が有名なのでしょうか。それは、驚異的な身体能力や古代から受け継がれた個性的な習慣や、特徴的な服装や装飾品などからです。

マサイ族とは
ケニア南部からタンザニア北部一帯の先住民のこと。アフリカ大湖沼の自然動物保護付近に住居を構え、牛や羊、ヤギなどの家畜の遊牧をして暮らす遊牧民でした。しかし近年では多くのマサイ族は同じ場所に住居を持ち定住したり、都市に住み普通に生活を送ったりする人もいます。伝統的な住居は牛糞と泥をこねて小屋を作り、サークル状に配置し、外側を木の柵で囲うというスタイル。夜になると柵の中に放牧していた家畜を入れ野獣から守ります。マサイ族は東ナイル諸語に属する言語の一つマサイ語(マー語)を話します。伝統的な主食は牛乳とヨーグルトと牛の生き血です。マサイ族の結婚は一夫多妻制。

マサイ族の特徴とは
よく知られている身体的な特徴の一つは「驚異的な視力」です。通常3.0から8.0程度の視力があるとされています。中には12.0という驚異的な視力を持つ人もいます。そして視力が良いだけでなく、サバンナの暗闇でも少しの光があれば周囲を見渡すことができる優れた暗視能力も持っています。もう一つの身体的特徴、それは高身長。細身の体形で190センチ代の人も少なくありません。また垂直方向に高くジャンプする独特のダンスも有名です。村で最も高く飛べる男性が尊敬されます。マサイ族は「赤色」がシンボル。赤は「血」を意味する神聖な色です。マサイ族が身にまとっているのは「マサイシュカ」。シュカとはマサイ語で布の意味です。鮮やかな赤色が基調のチェック柄が定番のデザインです。女性はビーズや骨などで作られた華やかな装飾品を付けています。マサイ族にとって「牛」は大切なものです。特に男性は牛の牧畜に強い誇りを持っています。

スマートフォンの普及
近年、マサイ族は伝統的な暮らしを守りサバンナで遊牧生活を送る人々がいる一方で、政府が進める定住化政策の影響により定住生活を送る人々もいます。遊牧生活を送る人々は減少し、仕事を求め近代的な暮らしを始めています。また、伝統的なマサイ族も観光客相手のビジネスも。スマホの普及も進むなどの近代化が進んでいます。

記事/Tomoko Watanabe