1979年世界遺産に登録されているサガルマータ国立公園。敷地内に世界一高い山としてそびえるエベレスト。ネパールと中国チベットの境のヒマラヤ山脈に位置し山頂は両国の国境上にあります。ネパール政府が認めるエベレストの標高は8844メートル。全米地理学協会はGPSによる測量値として8850メートルと発表しています。
意外と知られていない命名の由来。なぜエベレストと呼ばれるの?
1852年、イギリス領のインド測量局がヒマラヤ山脈にある何千ものピークから世界最高峰を特定しました。ネパール王国は当時鎖国していたため地元名が分からなかったことから、インドやインドネシアの測量調査員をやっていたイギリス人測量局長のジョージ・エベレストの名前をとりエベレストと呼ばれるようになりました。
1950年代になってからエベレストに地元名があることが判明。チベット語でチョモランマ(大地の女神)、ネパール語はサガルマータ(大空の頭、世界の頂上)と言います。
世界で初めて世界最高峰エベレストに登頂したのは?
1953年登山家エドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジンを含む登山隊が初登頂に成功。1907年にイギリスで登頂をめざす計画から50年もの歳月を要しています。日本人では、1970年5月11日植村直己と松浦輝夫が初登頂に成功。1975年5月16日には、田部井淳子が女性として世界初登頂しました。
毎年多くの人が登頂していますが、昨年は史上最多の885人に上りました。一年のうちで登頂できるチャンスはジェット気流がエベレストの北側に移動し山頂付近が穏やかになる5月と11月です。しかし11月はマイナス30度と極寒なため、ほとんどの人が5月に登頂します。
まずはネパール政府の許可が必要です。高額な費用の準備(国際ガイドや商業公募隊での登山は約286万~885万円、個人は約1000万円)に加えて、登山に必要な日程の確保、高山病にならないよう酸素の薄い状態でも登山を行えるような体力作りなど、何か月もかけた準備が必要になります。想像以上に世界最高峰エベレストの登山は過酷です。
初心者から楽しめる観光客に大人気のトレッキング!
19世紀中頃、もともとオランダ語であったTrek(旅をする)が英語に取り入れられました。1960年代になるとネパール政府が外貨不足を解消するためヒマラヤの山歩きを観光客誘致とし宣伝を始めました。ヒマラヤ山脈に位置するサガルマータ国立公園にはエベレストの他、ローツェ(世界第4位)、マカルー(世界第5位)、チョー・オユー(世界第6位)など8000m級の山々が含まれ、数多くのトレッキングコースがあります。エベレスト登山はハードルが高いですが、ヒマラヤトレッキングは初心者から上級者まで楽しめるコースが豊富にあるため、簡単な準備さえ整えば気軽に歩き始められます。
記事/Tomoko Watanabe