culture 素晴らしい文化

グルテンフリーで栄養豊富 エチオピアで食べられている主食「インジェラ」

エチオピアには80以上の民族がいるため主食も様々ですが、その中でもエチオピアの主食と言えば全国的に食べられている「インジェラ」です。インジェラはエチオピアの国民食ですが、世界的に見てもとても珍しい主食です。私たち日本人にとって、あまり聞いたことのない食べ物ではないでしょうか。「インジェラ」とはテフという穀物の粉を水で練り発酵させ、クレープ状に焼いたものです。焼いたインジェラは表面に「アイン」と呼ばれる小さな穴があります。テフはイネ科の穀類でエチオピアを起源とする栽培植物。テフという名はエチオピアの公用語「アムハラ語」で「見失ってしまう」と意味する言葉です。その名の通り直径2ミリメートルにも満たない小さな種子です。テフは赤と白の2つの品種群に分類され、インジェラには白色種が適しています。エチオピア国内の低地部などで栽培。テフは古くから栽培されているという歴史があります。

テフで作ったインジェラは柔らかく独特の食感と風味があり酸味が強いという特徴があります。このインジェラに合うおかずは味の濃いものです。おかずは肉や野菜を香辛料と一緒に焼いたり煮たり揚げたりします。インジェラの上にこのおかずをのせて食べるのが一般的。エチオピアの国民の半数がイスラム教徒のため、基本的に豚肉は食べず、牛、羊、鶏、ヤギの肉を食べます。インジェラは主に「ワット」という水気の少ないシチューと一緒に食べます。ワットには「カイ・ワット」と「アレチャ・ワット」の2つの種類があります。「カイ・ワット」はバルバリというエチオピアの調味料が入っており辛いです。「アレチャ・ワット」はこの調味料が入っていないため辛くありません。ワットの具には、バグ・ワット(羊肉のシチュー)、スガ・ワット(牛肉のシチュー)、ドロ・ワット(鶏肉のシチュー)、アサ・ワット(魚のシチュー)、シュロ・ワット(豆のシチュー)などいろいろと種類があります。 食べ方は複数人でインジェラを真ん中に置き、右手を使いインジェラをちぎりおかずを巻いて、基本的には皆でシェアして食べます。イスラム教の影響があるので、不浄の左手は使いません。テフはグルテンフリーで様々な栄養素を含んでおり鉄分やたんぱく質、カルシウム、ミネラル、食物繊維などが豊富です。

近年、スーパーフードとして注目を集めている「テフ」。栄養豊富でグルテンフリーのテフで作った「インジェラ」を是非一度食べてみたいですね。

記事/Tomoko Watanabe