ラリベラの街は12世紀まで「ロハ」と呼ばれていました。1162年エチオピアを支配した王朝ザグウェの王ゲブレ・マスケルが生まれた時に彼に蜂が群がったといわれ、彼は「蜂に選ばれしもの」という意味の「ラリベラ」と名付けられました。そして王の名にちなんで、街も「ラリベラ」と呼ばれるようになりました。4世紀にエチオピアにキリスト教が伝道され、エチオピア正教として成長していきました。その後、ラリベラ王は多くの信者たちが巡礼を目指した聖地エルサレムへの道がイスラム教徒により占領されたため、ラリベラに第2のエルサレムの建設を試みました。24年もの月日をかけ、岩窟教会群を建立したと言われています。1978年に世界遺産に登録された「ラリベラ岩窟教会群」は巨大な一枚岩を独特な建築方法で彫り下げて造られた11の岩窟教会群です。岩をくり抜いて造った教会は部屋や窓があります。現代にあるような建築機械も使わずに岩窟教会を造った建築技術は高度な技術です。また、アクスム様式の窓や排水の設計もとても優れたものです。なんと教会群はすべて地下でつながっているとされています。ラリベラの教会群はヨルダン川を境に第1グループ(6つの教会)と第2グループ(5つの教会)の大きく2つに分かれています。
最大の見どころ「聖ギオルギス教会」
聖ギオルギス教会は第1,2岩窟教会群から少し離れたところに位置します。一枚岩を掘り下げた高さ12メートル、奥行き12メートル、幅12メートルの十字架形の立方体の教会です。聖ギオルギス教会は「ノアの方舟」とも呼ばれています。ノアの方舟がアララト山に到着した姿を表しているそうです。
世界最大級の岩窟教会「聖救世主教会」
第1グループの聖救世主教会はラリベラ岩窟教会の中で最古のものと考えられています。一枚岩を掘り下げて造られている教会は幅33,7メートル、奥行き23,5メートル、高さ11,5メートルあり、ラリベラで一番大きい教会です。内部は28本の柱で支えられています。上部の窓はアクスム様式で下部はギリシア様式になっており、窓に特徴があります。
最も美しい「聖エマニュエル教会」
王家の礼拝堂だったとされる聖エマニュエル教会。窓はアクスム様式で第2グループの中で最も美しい教会といわれています。周囲を彫り抜いてあるので、回ることができます。この教会は聖マルコリオス教会と20メートルほどのトンネルでつながっています。
ラリベラ岩窟教会群は世界遺産として11の教会が認定されています。どの教会も魅力満載でザグウェ王朝の文化を知るとても貴重な遺跡です。
記事/Tomoko Watanabe