culture 素晴らしい文化

不思議の城と呼ばれる世界遺産 ゴンダールの城

ファジル・ゲビ・ゴンダール地域はアクスムから標高2000メートルのエチオピア高原北部に位置する古都です。首都アディスアベバから車で12から13時間、飛行機で1時間ほどのところにあります。以前の首都ゴルゴラでマラリアが蔓延し民を守るためと、カトリック教会の侵入により多くの争いが起きたためにゴンゴタールに遷都しました。1636年にファシリデス王によりエチオピアの首都に定められ、以後、約200年に渡り繁栄しました。1979年に世界遺産に登録された「ゴンダールの城」は標高2300メートルのファジル・ケビの丘に歴代の皇帝が建設した6つの城と12カ所の城門を残しています。この城の面積は約7平方キロメートル、城壁の長さが900メートルもあります。この城壁の中には宮殿や教会、修道院などゴンダール様式の建築物が多く並んでいます。アフリカに中世ヨーロッパの城のような美しい城があるということで「不思議の城」と呼ばれています。インド・アラブ建築やイエズス会の宣教師によって持ち込まれたバロック建築の影響を受け、独自の建築様式が生まれ、「ゴンダール様式」と呼ばれています。文化的にとても貴重な遺跡です。

ダブラ・ブラハン・セラシエ教会
「ダブラ・ブラハン・セラシエ教会」はエチオピアの最高傑作といわれる宗教画もあり見どころ満載です。この教会は1800年代の南スーダンからのイスラム勢力の争いにも屈せずにゴンダールにある44の聖堂の中で唯一残ったオリジナルの教会です。17世紀にイヤス王により建てられたエチオピアで最も有名な教会。内部はたくさんのフレスコ画で彩られています。聖堂の正面には、木の皮に描かれている「エチオピアのモナリザ」と呼ばれている宗教画があります。その中でも特にエチオピアの天使がたくさん描かれた天井画が素晴らしいです。150体以上の天使はすべての方向を見ています。それは神の力はあらゆる方向に向いているという意味が込められているそうです。

世界遺産 シミエン国立公園


1978年に世界遺産に登録された「シミエン国立公園」は、エチオピアで最初に制定された国立公園です。エチオピアの北部ゴンダール州にあり、エチオピア最高峰の約4533メートルあるラスダッシェン山を中心とした国立公園です。昼と夜の寒暖差があり過酷な山岳地帯ですが、その自然環境に適応したエチオピア固有の高地ヤギのワリアアイベックスや絶滅が危惧されるシミエンジャッカルなどが生息しています。しかし、この地域は人口増加に伴った農地開拓や密猟などにより生態系が壊され、1996年にこの国立公園は危機遺産リストに登録されましたが、ゴンダール州政府は農地の縮小や移住などの対策をして、自然を取り戻し、2017年に解除されました。これからも、このエチオピアの大自然と希少な動物たちを守っていってほしいと思います。

記事/Tomoko Watanabe