東アフリカに位置する国「エチオピア」はコーヒー発祥の地として知られています。エチオピアの伝統的なコーヒーの作法「コーヒーセレモニー」という文化をご存知でしょうか。エチオピアにおいてお客様をおもてなしする代表的な習慣です。このセレモニーは既婚女性が執り行うのが基本です。そのため、エチオピアの女性は母親からポットやカップなどの道具を受け継ぎ結婚前に伝統的な作法を身につけます。

コーヒーの歴史

エチオピアコーヒーがコーヒー発祥の地といわれているのは、伝説がもとになっています。その伝説とは、昔、南西部のカファという地域の山で山羊使いのカルディが興奮している羊を見つけました。羊が興奮した原因と思われる赤い実をカルディが食べてみたところ、眠気覚ましの効果があることを発見しました。近くの僧侶にこれを告げ、僧侶も試してみると気分が爽快になり活力がみなぎってきました。他の僧侶にも勧め、それからは長時間の宗教行事の際も睡魔に苦しむことがなくなったそうです。コーヒーという呼び名は原産地のカファからきています。幾世紀もの間、コーヒーは飲むものではなく、そのまま食べたり、ギイというバターに混ぜ食べたりしていました。そして14世紀になり初めて紅海を渡り苗木と共に輸出され世界に広がりました。

コーヒーセレモニーの手順

まず初めにコーヒーセレモニーは空間を清めるためにお香を焚くところから始まります。

1,コーヒーの生豆を水で洗います。

2,きれいになった豆を平たい鉄鍋でじっくり炒めます。

3,豆の香りが空間に漂うので鍋をゆすり香りを楽しみます。

4,炒りたての豆をすり鉢ですり潰して粉にします。

5,素焼きのポットにお湯を沸かしコーヒーの粉を入れて、10分ほど煮立たせます。

6,コーヒー台の周りを花や草でデコレイトし、デミタスカップにコーヒーを注ぎます。

コーヒーセレモニーでは2,3時間かけコーヒーを3杯飲むのが基本です。1杯目をアボルブンナ、2杯目をウレッテンニャ、3杯目はソステンニャといいます。

エチオピアのコーヒーセレモニーはお話をしながら、目で見て、匂いを嗅ぎ、味わい、五感を使い楽しむものです。エチオピアの人々にとって、「コーヒーセレモニー」を行いおもてなしすることはとても大切な文化なのです。

記事/Tomoko Watanabe