「カンガ」とはケニア、タンザニアを代表する東アフリカで衣類などに利用される一枚布のことです。19世紀中頃、東アフリカのスワヒリ社会の中で「カンガ」は発展してきました。しかし歴史はまだ浅いです。カンガはヨーロッパから東アフリカに流入した「レソ」と呼ばれるハンカチ用の布を縫い合わせて大きな布として利用したのが始まりと考えられています。その後、布の模様がホロホロ鳥(スワヒリ語でカンガ)の羽の模様に似ていたことから、カンガと呼ばれるようになりました。
カンガの特徴
布の大きさは幅が約110センチ、長さが約160センチの長方形です。カンガはとても色鮮やか。色は原色の組み合わせや伝統的なモノトーンまで。モチーフは幾何学模様や草花や動物など様々です。カンガは「ピンド」と呼ばれる縁取りの柄、中央のメインの柄の「ムジ」、スワヒリ語の言葉の「ジナ」の3つの要素から構成されています。布は洗濯に強く、使い込むほど肌触りが良くなります。そして最大の特徴は、カンガの中央に1枚1枚スワヒリ語で格言や流行語、ことわざなどのメッセージが書かれていることです。この言葉は3つの要素のひとつ「ジナ」です。アフリカの人々はカンガを纏い今の気持ちを「ジナ」の語句で表現します。このことから、カンガは「しゃべる布」とも呼ばれます。アフリカの多くの女性は1枚をスカートのように腰に巻いたり、ベールのように頭にかけたり、ショールのように肩からかけたりします。カンガは衣類として着るのではなく、布を纏い、巻くのです。カンガは衣類だけでなく、テーブルクロスやカーテン、風呂敷、赤ちゃんのおくるみ、背負い布など、生活のあらゆる場面で活躍します。
記事/Tomoko Watanabe