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ラオスの世界遺産「チャンパ―サック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群」

2001年に「ワット・プー遺跡群」は、ラオスで2番目の世界遺産に登録されました。正式名称は「チャンパ―サック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群」。ラオス最大の宗教遺跡は南部の都市パクセーから車で1時間ほどにある村チャンパ―サック県の聖なる山「プー・カオ山」の麓にあります。この山はクメール族に聖なる山として崇められていました。

「ワット・プー」はクメール王朝が5から13世紀に築いたヒンドゥー教寺院の遺跡です。「ワット」は寺、「プー」は山を意味しています。敷地内にはアンコールワットよりも古くに造られたと言われている石造りの宮殿や寺院が点在。現在、見ることができる建物は11世紀に建てられたものです。

山麓部、中間部、山腹部の3つのエリアで構成

「ワット・プー遺跡群」は寺院全体が山麓部、中間部、山腹部の3つのエリアで構成されています。
山麓部は入り口から大きな聖地(バライ)と石造りのテラスとリンガ(子孫繁栄を願うモチーフ)が並ぶ参道と小さな聖地により構成されています。
中間部はナンディン宮殿、さらに上部の十字型テラス、ストゥーパ(仏塔)のテラスと続き、山頂に向かうと、南宮殿と北宮殿の2つの宮殿があります。
山腹部は最後の石段を登ると、正面に12世紀ごろのアンコール様式の本殿が現れます。本殿は3つの入口に分かれており、各所にはヒンドゥー教の神々が刻み込まれています。一番奥の部屋には、ヨニ(大地を象徴する四角い女性形)の中心にリンガ(シバ神の象徴)がはめ込まれています。本堂の中央部には、チャンパ―サック王朝時代に奉納された、4体の仏像が安置されています。

ヒンドゥー教と仏教が混ざる不思議な空間

クメール王朝はヒンドゥー教を信仰していましたが、その後、仏教に移行し上座部仏教の施設として改修されました。13世紀にはラーオ族のラーンサーン王国の占拠により、上座部仏教のワット(寺)として位置付けられました。ヒンドゥー教と仏教が混ざり不思議な空間ですが、現在は仏教の礼拝施設として利用されています。

もし「ワット・プー」を訪れるなら、年に1度、2月の満月の日に行われる「ワット・プー祭り」に合わせて訪れるのも良いかもしれません。宮殿や寺院がキャンドルにより幻想的な雰囲気になります。

記事/Tomoko Watanabe