インドネシアでは、イスラム教徒が約9割を占めているため、お酒を飲む文化があまりありません。そんな背景もあってインドネシアはコーヒーの産地として有名ですが、コーヒー以外にもジャスミン茶、緑茶、紅茶、烏龍茶、白茶がよく飲まれています。その中で最も紅茶がよく飲まれていいるのはご存知でしょうか。実は世界有数の紅茶大国です。
インドネシアは第二次世界大戦まではオランダの植民地として紅茶の生産国でした。近年ではジャワ島やスマトラ島を中心に生産され、生産量は世界第4位です。
日本でもお馴染みのジャワティーはジャワ島で生産され、明るい赤色の水色で渋みやクセがなく飲みやすいのが特徴です。
スマトラティーはインドネシア北部のメダン高原で栽培され、濃い赤色の水色で、ジャワティーと同じように渋みやクセが少ないのが特徴です。
インドネシア語でお茶のことを「Teh(テー)」と言います。紅茶を赤いお茶という意味の「Teh Merah」と黒いお茶という意味の「Teh Hitam」と呼んでいます。
インドネシアの特別なお茶の飲み方
1,The Poci(ポチ茶)
ジャワ島のチレボン、テガル、ペマラン、ブレブス、とその周辺地域では、素焼きの容器で飲む「ポチ茶」の文化が有名です。お茶はジャスミン茶、甘味料はロックシュガーが使われます。お茶を飲むときは、コップを振るだけで、ロックシュガーをかき混ぜてはいけないため、最初は味が苦く、その後は砂糖が溶け甘くなります。そこに、「人生は苦いものだが、辛抱強く我慢すれば人生の甘さを得ることができる」という意味を表しています。
2,古くから伝わるインドネシアの伝統行事「Nyaneut(ニャネウット)」
新年を迎える時に紅茶を飲むという西ジャワに伝わるイスラム教徒の伝統行事です。紅茶を入れる容器にはココナッツ殻や亜鉛カップが使われ、最初、手のひらの上でガラスを2回回し、紅茶の香りを3回吸い込んでから飲みます。紅茶の甘味料として黒砂糖を使い、里芋やピーナッツ、揚げキャッサバ、バナナなどと一緒にいただきます。
3,ジョクジャカルタの伝統的な茶道「パテハン」
王宮で広まった伝統的な茶道。伝統舞踊や音楽を楽しみながら、お茶を楽しみます。
意外と知られていないインドネシアのお茶文化。インドネシアでは、イスラム教徒が約9割を占めているので、お酒を飲む文化があまりありません。そのためインドネシアの人々はお茶を飲みながらコミュニケーションをとるのが習慣となっているのです。
記事/Tomoko Watanabe