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未だ解明されていないエリアが多く残る世界遺産「ロレンツ国立公園」

未開の地「ロレンツ国立公園」

1999年に世界遺産に登録された「ロレンツ国立公園」はインドネシアのニューギニア島西部にあります。面積約2万5千平方キロメートル。「ロレンツ国立公園」は、赤道近くに位置しますが、島の中央にはマウケイ山脈が東西に走り、標高5,050メートルもあるインドネシア最高峰のプンチャック・ジャヤ山の頂きは1年中雪に覆われています。

広大な低湿地帯や熱帯海洋地区を含む多様な地形により、多種多様な動植物が生息しています。これは世界的にも少ないニューギニア島の特徴で、未開の地も残る東南アジア最大の自然保護区となっています。未だに確認されていない動植物の中には極楽鳥やキノボリカンガルーなどの希少動物や絶滅危惧種なども含まれており、貴重な生息地となっています。「ロレンツ国立公園」の中心部の標高3300メートルの高地には、「天空の湖」と呼ばれる「ハベマ湖」があります。生命の源泉となる神聖な場所として知られる「ハベマ湖」。ここでは「幻の鳥」と呼ばれるハナガオフウチョウを見ることができます。

近年まで石器時代のような生活を送っていた「ダニ族」

公園内には9つの部族の人々が生活していますが、その中で最も有名な種族「ダニ族」が今でも人間の原点を感じさせる暮らしをしています。1938年にアメリカ人の探検家に発見されるまでは、外界との接触がありませんでした。男性はコテカというペニスケース、女性は腰みのを身につけるだけの裸族です。「ダニ族」の主食はさつまいも。ほとんどが自給自足で原始的な農業と狩猟で生活しています。現在はインドネシア政府により禁止されていますが、身内に死者が出ると女性が追悼の意を込め、指を切り落とすという風習も残っています。

世界遺産に登録されている「ロレンツ国立公園」は、ほとんどの地が未だ解明されていません。では、なぜ世界遺産に登録されたかというと、この周辺に豊富な鉱物資源があるため、開発により自然が失われないためだといわれています。このエリアは政府により軍事作戦エリアに指定されているため、外国人旅行者は入域許可証がないと入ることができません。このように気軽に訪れることはできませんが、もし訪れることができれば、ここでしかできない貴重な体験となるでしょう。

記事/Tomoko Watanabe