ベトナムの全域に「工芸の村」という所が約2,800カ所あります。その中で、唯一ハノイ市に残る「線香村」があります。ハノイ市ウンホア群クアン・フー・カウ村で、芯材が竹の線香「竹芯香」を100年以上作り続けられています。東南アジアで竹芯香は、寺院や家で日常的に使用されていて、長さが約30cmあり、折れにくいのが特徴です。
竹芯香の歴史
竹芯香の歴史は、古代インドが発祥で時を計る道具、環境や身体を清めるものとして使用されていました。それが、中国、台湾などへ仏教と同時に伝来し、香りを楽しむもの(精神的)、医療目的(肉体的)の役割で使用される歴史の流れがあります。現代の日本の線香は、竹芯香が原型です。
竹芯香を作る技術
地元の人が竹を割り、竹ひご部分を染色した後、植物を使用した香料を粘土状にしで2秒程で芯材のまわりに塗り、屋外で乾かします。村の路地や庭まで広く活用し、午後の日に当て乾燥させるので、辺りはカラフルな竹芯香がいっぱいに広がり人目を引きます。過去にしていた竹芯香作りは、完全に手作業でしたが、今は機械を使い生産性が向上しました。家族と共に子どもからお年寄りまで多くの住民が、この作業を行い、村で伝統を守りながら、住民の収入をもたらしています。テト(旧正月)のための線香作りは、伝統で精神的な仕事とされています。竹芯香が作られる期間は、村によって1年のうち半年だけの所と、通年造る所があります。テト(旧正月)の時期が近くなると、多くの工房がフル稼働します。ベトナムの旧正月の習慣に、元旦から4日までライトや線香が消えないようにして過ごすので必要とされます。
テト(旧正月)の時期
旧暦のお正月は、毎年日にちが違い1月下旬から2月中旬頃。1年で1番長いベトナムの連休です。中国文明に影響を受けた地域は、太陰暦をつかいます。ベトナムでつかわれている暦は、2つ。1年を365日とする太陽暦と、1年を364日とする太陰暦です。
ベトナムを含めアジアの国の多くは、旧暦の正月を祝う文化が続いています。
ベトナム文化の最も重要なテト(旧正月)
ベトナム人は、家族に対する愛情がとても深く家族を大切にしています。日本のお正月と同じで、テトの年末は、市場や花のマーケット、各種サービスも賑わい、準備に忙しくなります。1年の中で最も忙しい時期で、1番大切な期間となります。ベトナムでは、テトが充実すると、新しい1年も充実すると考えられており、新年の準備をとても大切にし、目に見えない精神文化が表れています。元旦の朝に、先祖の祭壇に線香を手向けて「新年のお祝い」をします。元旦は父親のテト、2日は母親のテト、3日は先生のテト、というベトナムのことわざがあります。バイク大国のベトナムでは、バイクに乗って親戚の挨拶回りに「Di choi ディチョイ」遊びに行こうと、声をかけ誘ったりします。お寺の近くは、初詣で大渋滞、最も人が移動する時期で飛行機に向かう道のりも渋滞します。1年の幸運を願って、自分の年齢に合わせて良い方位を選んで出かける人もいます。国内外の、家を離れて遠くに住んでいる人も、地元に戻って家族みんなで盛大に集まりお祝いすることを楽しみにしています。
記事/Ami Inoue