タイのレストランや屋台で見かける、栄養豊富で美容と健康に良いハーブのローゼル。熱帯アフリカ原産のアオイ科・フヨウ属の多年草又は、一年草の短日植物です。日が短くなるにつれて花芽が作られる特質があります。ローゼルは寒さに弱く、冬越しが難しい為、日本では一年草扱いになっています。
ローゼルはハイビスカスティーの原料であり、ジャム、ゼリー、酒などにもなる食用を目的にしたハーブです。園芸植物のハイビスカスと混同しやすいため、英名で「Roselle (ローゼル)」と呼ばれています。茎は、「ローゼルヘンプ」という繊維として利用されます。
多年草
一年草に対して、花が咲き終わってもそのまま翌年のシーズンも同じ株が花を咲かせるものを多年草と呼びます。球根も多年草の一つです。宿根草(しゅっこんそう)も多年草の中に入ります。一年草とは、一年内で一世代を終える植物のことです。
効能
クエン酸、ビタミンC、ペクチンが多く含まれ、疲労回復、美肌効果、むくみ改善などの効果があります。
ハーブとしての利用
ローゼルは、花が咲き終えた後に、外側の総苞(そうほう)が大きくなって、種を包みます。総苞やガクの部分を乾燥させてお茶にします。細かく砕き、熱湯を注いで、ハイビスカスティーとして楽しむのが一般的です。カップ1杯で果実1個が目安です。
ジャム
中の種を取り除き、砂糖で煮つめます。果実には、心地よい酸味があります。
別名
レモネードブッシュ、ローゼリ草などと呼ばれています。
タイ語
ローゼルは、タイ語で「グラチアップ」といいます。色だけを見てナムデーン=赤い水という意味で呼ばれることもあります。
生薬
「落神花 (らくしんか)」と呼ばれ、天日乾燥したものを用います。
美しい赤色の成分
アントシアニン系色素で、抗酸化物質ポリフェノールの一種。活性酸素の生成を抑制し、血液を綺麗にする効果や、のどの炎症をおさえる効果があるとされ、風邪をひいた時やのどを使い過ぎた時に飲むと効果的です。
古代インドやエジプトの王家では、不老長寿の秘薬とされ、クレオパトラも愛用していたエイジングのハーブとも言われています。ローゼルの葉は、世界中で古くから食用とされてきました。タイでは、ハーブが人々の生活に深い繋がりがあり、さまざまな料理や飲み物に使われています。熱帯地方生まれの、爽やかな酸味があるタイの疲労回復ドリンクを効果的に取り入れてみたいですね。
記事/Ami Inoue