culture 素晴らしい文化

現地の人々の手によって茎の収穫から糸をつくる「蓮の糸」

蓮の糸は、とても繊細なので手織りでないと織れない貴重で珍しい素材です。藕糸織(ぐうしおり)といい、お袈裟を織り僧侶に寄進したのがはじまりです。

ミャンマー中部のインレー湖に咲く蓮。蓮の茎の周りにナイフで5㎝くらいずつ、切り目を入れて茎全体から繊維を傷つけないように丁寧に引き出します。蓮から作られる生地は、1mの布を作るために約1万本の蓮の茎が必要です。ひとつひとつ手作りで手間のかかるものです。

蓮の茎からとれる2種類の繊維
茄糸(かし)は、茎の外側の部分です。果肉を溶かし繊維を取り出し、水洗いを行い乾燥させて紡いで織ります。アジアの湖上生活の一族に代々受け継がれています。 藕糸(ぐうし)は、蓮の茎から抜き出したクモの糸のような一本一本細い糸です。そのままでは、織物に使用することができません。茎4~5本分の糸を板の上で手早く、こねる様に撚り(より)合わせて糸状にします。ひとまとめにする繊細な作業は、集中力が必要で時間をかけて進めます。

撚糸(ねんし)
製造された原糸(生糸)は、そのままでは、非常に細く、ばらばらのなって扱いにくいので生糸の束に軽く撚りをかけます。この工程を経ることで初めて一本の糸として使えるようになります。その糸に撚りをかける工程を「撚糸工程」と言います。

茎の採取時期
6~11月(雨季)蓮布の手ざわりつややかさがり、麻のようなさらっとした手ざわりです。使い込むほど、しっとりと馴染みます。蓮で作った織物は、夏は涼しく、冬は暖かいです。

蓮の群生場所
ミャンマー中部のインレー湖。湖の大きさは、南北に22㎞、東西に12㎞にもなります。広大なインレー湖で育った蓮の茎を使い、現地の人々の手によって糸がつくられます。

僧侶のお袈裟
ミャンマーでは、高僧(こうそう)がまとうお袈裟として、蓮糸で高僧にお袈裟を織り、寄進されています。ミャンマーは、仏塔が多くお袈裟を着る人が沢山います。
高僧
仏教の普及に関わった、実在した歴史上の徳や知のすぐれた僧。また、位の高い僧。
蓮華座(れんげざ)
仏像は、蓮華座といわれる蓮の花の台座にすえられる。「南無法蓮華経」は、仏法そのものが蓮の花に例えられています。

蓮糸の産地、インレー湖上で暮らしてきた人々の身近な蓮文化。全てが手作業で、熟練の技術と半年の期間を要する貴重な蓮布について取り組む姿を知ることも大切ですね。

記事/Ami Inoue