ケニアといえば「コーヒー」のイメージが強いのではないでしょうか。実はケニアでは紅茶の方がよく飲まれています。ケニアでコーヒーを飲む人はあまり見かけません。紅茶の生産量は世界ランキング1位がインド、2位がスリランカに続き3位がケニアです。なんと輸出総量は世界1位です。ケニアで紅茶が作られるようになったのは20世紀に入ってからのこと。ケニアは1963年の独立までイギリスの植民地でした。そして1903年に初めてケニアに紅茶の苗木が持ち込まれ、栽培実験に成功しました。その後1924年以降、商業的に本格栽培が始まったと言われています。ケニアの主な紅茶の生産地は巨大渓谷「グレート・リフト・バレー」周辺の標高の高いケニア山やケリチョ、ナンディヒルズの西部地域です。ケニアは赤道直下にありますが、紅茶を栽培している高地では水はけが良い、寒暖差が激しい、冷涼な気候と十分な雨量といった自然環境により紅茶の栽培にとても適しています。クオリティーシーズンは年に2回。1月末から2月と7から9月ですが、年間を通して品質のよい安定した製品ができます。1年を平均すると2週間に1回収穫されています。茶葉の栽培はほとんど農薬を使っていません。収穫はすべて丁寧に手摘み。茶樹と環境に優しい方法です。
ケニア紅茶の特徴とは
ケニアで栽培されている紅茶は「ケニア紅茶」と呼ばれています。紅茶の歴史が浅く、地域ごとの品種の差があまりないため、国名でひとくくりされています。ケニアの紅茶は基本的にはアッサムの交配種。味はクセがなくマイルドですっきりとした渋みがあります。香りもフレッシュです。色は明るい紅色。ブレンド用やティーパック用に利用されることが多いです。紅茶のタイプはCTC紅茶。CTCとはcrush(つぶす)、tear(引き裂く)、curl(丸める)の略です。形状はコロコロとした丸い茶葉。この形状によりお湯に触れる面積が増え、短時間でしっかりと味がでます。アッサムといえば、ミルクティーに向いている紅茶で有名です。ケニアの紅茶はアッサムの交配種なのでミルクとの相性がとても良いです。
ケニアの紅茶は世界でも良質のCTC紅茶の生産地として世界中に広まっています。近年、ケニアは世界最大の紅茶輸出国となっています。私たち日本人も知らないうちに「ケニア紅茶」を消費しているかもしれません。
記事/Tomoko Watanabe