INTERVIEW

稲葉 繁樹インタビュー

Shigeki Inaba

稲葉 繁樹

福岡市出身。株式会社ティーアンドエス 代表取締役社長。
消費者視点・社会課題に対してどう取り組むかを念頭にデジタルコンテンツ・映像・広告・音楽・イベントなど、ジャンルの垣根を自由に往来する「越境するプロデューサー」として多角的に活躍。日系大手企業を中心とする新規事業企画~開発~運用~マーケティングまでサービス提供している。

自身が代表を務める株式会社ティーアンドエスのカンパニーコンセプトは「We are Happyspiral」。 社会に真の好循環を生み出すべく、デジタルコンテンツ、映像、広告、音楽、イベントなど、ジャンルを問わず多角的に活動する中、地域の国際競争力を強化するために成長戦略の策定から推進までを一貫して行う福岡地域戦略推進協議会のシニアフェローとしての顔も併せ持つ。 今回新しく始まるアシタネプロジェクトの発起人でもある株式会社ティーアンドエスの稲葉社長にこのプロジェクトが生まれた背景や思いを聞いた。

──まず、「アシタネプロジェクト」とはどういったものですか?

国際連合機関「国連ハビタット」と株式会社ティーアンドエスが協同し、日本から世界の環境改善を主軸に展開する社会貢献プロジェクトです。国連ハビタットが定める世界の42の各国諸課題に対し、わが日本の特徴ある技術や発明により、持続可能な課題解決へと結び付けていきます。各国の素晴らしい文化や伝統とも融合し、新しい価値を生み出していくという好循環プロジェクトで現地社会の進展に取り組みます。

──社会貢献を行う株式会社ティーアンドエスですが、主な事業は何でしょうか?

カンパニーコンセプトは「We are Happyspiral」。自分の周りの人から始まり、日本そして世界へと多くのHappyを先導し、好循環を実現していくために取り組んでいます。本社は東京にあり、福岡と大分に支社があります。事業は、ブランド戦略・事業開発プロデュースからXR・3Dセンシングなど先端技術を活用したコミュニケーションツールの開発、デジタル技術を武器に各産業で協業するなど、幅広く展開しています。

──今回、アシタネプロジェクトを協同する国連ハビタットとは、どの様に出会ったのでしょうか?

もともと福岡出身で、※福岡地域戦略推進協議会に会社としても、個人としても協力してきました。福岡地域戦略推進協議会は福岡の街を新しく、より良い街にしようと取り組んでいます。と同時に、世界中で良い街づくりをしていきましょうという取り組みもしており、そこで国連ハビタットという存在を知りました。その時にハビタットの取り組みを聞き、日本の国連で「街づくり」を中心に活動している機関があることを知り、興味を持ちました。※福岡の新しい将来像を描き、地域の国際競争力を強化するために成長戦略の策定から推進までを一貫して行う、産学官民一体のシンク&ドゥタンク。福岡都市圏を核として、九州、さらには隣接するアジア地域との連携を図り、事業性のあるプロジェクトを推進していく

──国連ハビタットの「街づくり」の活動に興味を持たれたんですね。

日本の街にごみがそこら中に転がっていないのは、日本人は努力しているから。各国でごみ問題がずっと続いているのは、明確に各地域の努力が足りないと思っています。その中でも「学び」が重要な役割だと思っています。そんな中、都市計画を提供する、街の計画を提案されている国連ハビタットの考えや活動内容などがとても素晴らしいと感じました。文化、地域性の問題もあるかもしれませんが、知識がない、情報がない。法律やルールがないと無法地帯で、改善はされません。国連ハビタットが「街づくり」を行い改善策を広め、そして正解の深まりがどんどん増えていくといいなと思っています。

──「街づくり」というと、SDGsとも関連があると思います。いかがでしょうか。

SDGsは何か特別なことをするということではなく、普通に働いて普通に生活している中で、環境や人を思いやっているかという話だと思っています。それが非常に日本人的でいいなと感じています。SDGsという言葉があることによって皆良い社会づくりしなきゃいけないな、というきっかけになるので広まるのはいいことだと感じます。

──多くのチャリティがある中で、アシタネプロジェクトが他と違うことはあるのでしょうか。

このプロジェクトは、チャリティではありません。他のチャリティとの明確な違いは、嘘をつきたくないという思いです。プロジェクトの成功には、各国の文化を重んじ、人と人の理解が重要だと思っています。各地域の魅力的な文化を日本人に提供し、その収益でハビタットと共に、世界の国の環境問題などを解決していきます。また、アシタネプロジェクトは、日本人の人に楽しんでもらえるコンテンツを提案し、売り上げの15%を環境改善などに活用するという仕組みもあります 。世の中には数多くのチャリティがあります。社会貢献は、誰しもできることだと思っています。その中で、自分なりに透明性の高い社会貢献をしていきたいと考えています。

──アシタネプロジェクトは、チャリティとビジネスを組み合わせた取り組みですが、他と違った強みはありますか?

既にチャリティとビジネスを繋げている企業は多いですが、違いは国連ハビタッドと一緒に行うということです。明確に街づくりを行っている方たちと取り組む、というのが強みです。人間の居住空間を計画していくと、自然や街が汚れていると暮らしが困難になることを感じるようになります。世界中に正解の深まりが増えていくといいと思っています。

──世界の環境問題について考え始めたのはいつ頃からですか?

環境問題について考え始めたのは、日本人で初めて世界で最も貧しい国アフリカ(モザンビーク)で起業した日本植物燃料株式会社の合田さんとの出会いがありました。合田さんが運営協力しているグリーンイメージ国際環境映画祭では、環境をテーマに世界48の国と地域から応募された作品から審査をして選ばれた作品を上映しています。2018年から弊社ではスポンサーとして活動しています。正直以前は環境問題についてあまりピンと来ていませんでした。現在は合田さんとの出会いもあり環境問題は、企業としても人としても意識して当たり前の問題だと思っています。環境問題についての理解を一人でも多くの方に広めていきたいです。

──コンテンツに「素晴らしい文化」を入れたのは、どんな気持ちからでしょうか。

その国の問題を「困っています」というのは自分たちが主語になってしまう。コンテンツに素晴らしい文化を取り入れたのは、「素晴らしい文化」を通じて、日本人が楽しんで情報として取り入れてほしいと思ったからです。例えば、スポーツはルールが共通なので言葉がなくてもできる、その他にも各地域の食べ物の情報を伝えていく。その国の情報を知ることで、興味を持ちその国の問題を近くに感じてもらいたいと思っています。

──文化を伝えるうえで、ポイントとすることはありますか?

外資系広告代理店で働いていた時期があり、世界中色んな所で仕事をしました。各国の情報を知ってもらう上で大事なことは2つしかないと思っていて。1つ目は、多様性の理解。世界は様々な人種や文化の違いが溢れています。表現することは多様性に寄り添わないといけないことを感じました。2つ目は、テンションを高めるということ。各地域の文化、温度感は様々で一人一人に刺さる言葉は違います。各地域の文化などをとにかくつついて、これすごいオモシロい!ということを増やすこと。この2つは大事にして情報を発信していきたいです。

──アシタネメンバーというのはどんな方が参加していますか?

まずアシタネメンバーの「メンバー」の基準は、世の中的に有名かどうかは大事ではないと思っています。これからの未来についての志が高く、想いが同じメンバーが集まっています。世代も同じということもあり、世界を良くしたいという強い気持ちがみんなあります。メンバーは募集中なので、随時お待ちしています!

──最後に今後アシタネプロジェクトを通じて、どんな未来を思い描きますか?

現代で「意識が高い」といわれる人の多くは、行動が自分に向いていると感じます。これからは意識が外に向き、世の中のために意識が高い人が増えていくといいなと思っています。会社の垣根なくこのプロジェクトに参加する人が増えていき、立場年齢関係なく沢山の人と様々な取り組みをしていきたいです。


インタビュー/構成 Sumire Kurihara