世界的に深刻さを増している珊瑚の白化現象。珊瑚の白化現象では、気候変動による水温上昇、科学的な生活排水、自然に分解されなくなった汚泥が堆積する問題、様々な原因が議論されている。
その要因の一つとされているのが、実は「日焼け止め」の成分だ。具体的には、紫外線吸収剤である「オキシベンゾン」と「オクチノキサート」という物質が問題視されており、ハワイでは上記成分が含まれた商品の流通が禁止になっていたりもする。肌に塗った状態で海に入ると、海にその物質が徐々に溶けていき、珊瑚の白化の原因になると言われている。
これは知らない人もまだ多く、海に入る際に知らずに上記成分が含まれた「日焼け止め」を塗ってしまっていることがあるかもしれない。日本の海には珊瑚はいなかったり少ないから気にする必要はない、というのは暴論である。海は非常に多様な生き物や目に見えない微生物、プランクトンが生息しており、上記成分に敏感な生き物は多数存在する可能性がある。
そして、珊瑚を代表とする海の生き物たちに悪い影響を与えるような物を自分の肌にも塗って良いのか、ということにもなる。
とはいえ、海での日焼けはなんとかしたいもの。どういった商品なら、海にも自分にも優しいのだろうか。
環境再生活動家の陣内義浩氏は、珊瑚礁を守り、珊瑚の養殖なども行ってきたが、日焼け止め成分の問題に頭を悩ましていた。
その話を聞いた伊良部漁協の伊良波宏紀氏の「珊瑚に優しい日焼け止めを作れないのか」という意見がきっかけとなり、自分の身体を整えながら、海に流れ出ることで環境を良くしたり、珊瑚の再生ができたりする日焼け止めにチャレンジすることとなった。
そして2年の開発期間を経て発売されたのが、「海と珊瑚をおもう日焼け止め RIN RIN CREAM」だ。
同商品は、珊瑚に有害な成分を含まないことはもちろん、珊瑚再生方法の特許を取得した光触媒を配合しているため、珊瑚を守ることにも繋がるという。
ハワイで禁止である紫外線吸収剤だけでなく、合成着色料・合成香料・防腐剤・エタノール・ナノ粒子散乱剤不使用の肌にも地球にもやさしい日焼け止めクリームだ。
光触媒・水溶性ケイ素・与那国生サンゴ末・パールプロテインエキス・石垣島産月桃葉精油などが配合されている。
石垣島産「月桃葉精油」は、保湿作用により肌を引き締め潤いを保つことができ、ストレスや不安を和らげるなどのアロマ効果も期待できる。肌にとても優しく、日焼け止めとしてだけでなく、化粧下地としても活用できるのだそうだ。
環境問題はつい遠くて自分には関係のない話に感じがちで、自分の意識の中に置きにくい側面がある。例えば水質汚染はどこかの工場や畜産排水が原因だと思っている人も多いが、実は生活排水の方が汚染割合が多いこともある。
つまり私たち一人一人の行動や消費活動が地球に何らかのダメージを常に与えてしまうことは意識するべき重要なポイントだ。何気なく手にとってしまうその商品が、どんな想いで作られ、使った後にどんな影響を及ぼすのか、購入する前に「考える癖」をつけたい。
今回のRIN RIN CREAMは、単純に日焼け止めを使わないようにしようというのではなく、使えば使うほど自分にも自然にも優しい商品として提案している点が画期的である。紫外線吸収剤の問題とともに、広く知られて、多くの人の手にとってもらいたい商品だ。
小野 誠(環境コンサルタント)
大手通信販売会社を経て、インターネットビジネスのベンチャー企業の立ち上げなどに携わる。息子が生まれたことにより次世代に残す地球環境への意識が高まり、微生物活性材「バクチャー」にジョインした。日本及び東南アジアの水質浄化、土壌改善などの経験をもとに環境コンサルタントとしてアシタネプロジェクトに参画。