technology マスクの廃棄削減へ 「Bio Face」TBM

海に漂流する使い捨てマスク

従来の使い捨てマスクに使われる不織布の原料は、ポリプロピレンなどの石油由来プラスチック。日本国内で家庭用マスクに使用される石油由来プラスチックの量は年間で約1万トンにのぼるとも考えられます※1。新型コロナウイルスの流行後、感染対策として世界中で使用されているマスクの廃棄が問題視されています。海中を漂い、浜辺に漂着する使用済みのマスクが世界各地で確認され、新たな海洋プラスチックごみとして懸念されています。

※1 2018年の日本国内家庭用マスク生産量42億8,400万枚、うち9割以上が不織布製との統計に基づき、TBM推計。
(一般社団法人日本衛生材料工業連合会 ホームページを2020年4月20日参照)

ポリ乳酸の糸で編んだ肌に優しい「Bio Face」

海洋プラスチック汚染問題に貢献できる環境性能を備え、衛生的に繰り返し利用ができる抗菌マスクを開発したい。その想いから誕生したのが、再生可能な植物由来の原料、ポリ乳酸を使用した「Bio Face」※2です。「Bio Face」は、日本の素材ベンチャーであるTBMと、高機能なバイオプラスチックの改質剤を開発する Bioworksによって開発されました。

※2 「Bio Face」は、Bioworks株式会社が商標登録出願中です。

人にも環境にも安全なポリ乳酸

トウモロコシ等のデンプンから作られるポリ乳酸は、食品衛生法「厚生省告示370号」規格基準に適合。ポリオレフィン等衛生協議会のポジティブリストに掲載され、米国食品医薬品局(FDA)Food Contact Notification(FCN)No.178でも安全性が認められて、食品包装などにも使われています。ポリ乳酸の基本単位である乳酸は、私たちの体内にも存在する極めて安全性の高い物質です。また、分解中間産物である乳酸オリゴマーの安全性も確認されています。

肌に優しく、洗えて繰り返し使える

「Bio Face」の主原料であるポリ乳酸の糸は、健康な人肌と同じ弱酸性で抗菌作用を持ち※3、手術の際に抜糸せず人間の身体に分解吸収される縫合糸としても使用され、安全性と生体適合性を有する糸です。Bio Faceは、洗って繰り返し利用することが可能なマスクです。洗濯回数は、50回※4が目安です。繰り返し使用することでマスクの廃棄削減に繋がります。

※3 Bio Faceの抗菌持続性は一般財団法人ニッセンケン品質評価センター試験結果に基づきます。
※4 Bio Faceの洗濯耐久性はBioworks株式会社による試験結果に基づきます。

マスクが行き届かない世界の人たちへ

世界の新型コロナウイルスの感染者は、未だに日々増えて続けている状況です。多くの国では、公共の場でのマスク着用が義務化され、未着用時に罰金を課すなど非常に厳しい対策を講じている国もあります。世界共通の必需品となったマスクが、人々の生活だけでなく、地球環境に負荷をかけないように。人にも環境にも安心安全な「Bio Face」を世界の人たちに届くように、海外での生産も拡大していきます。